柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

向かってくる・遠ざかっていく物体での光速度(2)

重力ポテンシャルがないところでも、ドップラー効果によって光の速度が変わって見えてしまう件ついて。 

昨日は、それを解明する準備として、ローレンツ変換での時間や長さの伸び縮みについて復習しました。

その際の計算式で、光が斜めに進む距離 r について、

 \displaystyle r =\frac{l}{v} (式1)

という式を出しました。(光速度を1とする単位系です)

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また、以前、向かってくる・遠ざかっていく物体の見かけの速度 v_iについて、実際の速度を v とすると、物体が向かってくる場合は、

 \displaystyle v_i=\frac{v}{1-v} (式2)

遠ざかっていく場合は、

 \displaystyle v_i=\frac{v}{1+v} (式3)

となることを調べました。

これを式1に当てはめて、見かけの光速度c_i とします)を求めてみましょう。

光が進む距離 r を見かけの光速度 c_i で割ったものが光が距離 r 進むのにかかる時間であり、それはロケットが距離 l を見かけの速度 v_i で進むのにかかる時間と同じになりますから、

 \displaystyle \frac{r}{c_i} =\frac{l}{v_i}

 \displaystyle c_i×l =r×v_i

 \displaystyle c_i=\frac{r}{l}×v_i

となります。

物体が向かってくる場合は、式2から、
 \displaystyle c_i=\frac{r}{l}×\frac{v}{1-v}

 \displaystyle c_i=\frac{r}{l}×v×\frac{1}{1-v} (式4)

です。

式1を変形すると、

 \displaystyle r =\frac{l}{v}

 \displaystyle \frac{r}{l}×v =1 

ですので、これを式4に代入すると、

 \displaystyle c_i=\frac{r}{l}×v×\frac{1}{1-v}

 \displaystyle c_i=\frac{1}{1-v}

となります。

物体が速度 v で向かってくる場合、その物体の中の光速度は、もとの光速度\displaystyle \frac{1}{1-v} 倍に見えます。

物体が遠ざかっていく場合は、式3を使って、\displaystyle \frac{1}{1+v} 倍に見えることがわかります。

 

「不変」と思っていた光速度が変わります。
でもそれって、あくまでも「見かけ」ですよね…?

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